え?!カラスのヒナを拾ったら犯罪?!【専門家が解説】鳥獣保護管理法とは?身近な鳥獣トラブルと法律のポイント
「庭にハクビシンが出たけど、どうしたらいいの?」「家の周りのカラスが増えて困る…」「道端で鳥のヒナが落ちていたから、保護してあげたい!」
もし、あなたがこんな疑問や経験をお持ちなら、実はその行動が**「鳥獣保護管理法」**という法律と深く関わっているかもしれません!
私たちの身の回りには、様々な野生の鳥や動物(鳥獣)が暮らしています。彼らは私たちと同じ地球の仲間ですが、時に農作物を荒らしたり、住宅に侵入したりと、人間生活との間でトラブルが発生することも。一方で、彼らを守り、自然環境を保全することも、私たちの大切な役割です。
この「鳥獣保護管理法」は、まさにそんな人間と鳥獣との共存のバランスをとるための法律。でも、名前は聞いたことがあっても、「具体的にどんな法律なの?」「どんな時に適用されるの?」「身近な鳥獣トラブルでどう対応すればいいの?」と、疑問に思う方も多いのではないでしょうか?
ご安心ください!この記事では、専門家の先生に教えていただいた情報を元に、鳥獣保護管理法の基本から、私たちが日常生活で遭遇しやすい鳥獣トラブルの事例、そして法律のポイントまで、わかりやすく、そして親しみやすい言葉で徹底的に解説していきます。
この記事を読み終わる頃には、あなたの鳥獣トラブルへの対応が、より適切で安心できるものになっているはずです。さあ、賢く安全に、鳥獣との共存社会を築く第一歩を踏み出しましょう!
1. 「鳥獣保護管理法」ってどんな法律?その目的と基本
まず、「鳥獣保護管理法」がどのような法律なのか、その基本的な部分から見ていきましょう。
正式名称は「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」と言います。ちょっと長いですよね。この法律が目指しているのは、主に次の2つの大きな目的です。
鳥獣の保護: 野生鳥獣の命を守り、数を増やしたり、生息環境を保全したりすること。絶滅の危機にある種などを守ることも含まれます。
鳥獣の管理: 鳥獣と人間との間でトラブルが起きた際に、人間生活や農林水産業への被害を減らすために、個体数を調整したり、適切な方法で対処したりすること。そして、それらを「適正な狩猟」を通じて行うこと。
つまり、単に「鳥獣を守る」だけでなく、「人間社会との調和」も図りながら、野生鳥獣の健全な生息数を維持していくことを目指している法律なんです。
この法律のポイントは、原則として野生の鳥獣は、自由に捕まえたり、傷つけたり、飼育したりしてはいけないと定めている点です。これは、無秩序な捕獲や乱獲を防ぎ、生態系を守るために非常に重要なルールなんですね。
2. 身近に潜む!「鳥獣保護管理法」と関わるトラブル事例
「法律なんて関係ない」と思いがちですが、実は私たちの身近なところで、この法律が関わってくる鳥獣トラブルは意外と多いんです。具体的な事例を見てみましょう。
(1) 「困った!」鳥獣による被害
農作物被害: イノシシやシカ、サルなどが畑を荒らし、農作物を食べてしまう。
生活被害:
ハクビシン・アライグマ: 家屋の屋根裏に住み着き、糞尿による悪臭や天井のシミ、騒音、寄生虫による健康被害をもたらす。
イタチ・テン: 家屋に侵入し、同様の被害を引き起こす。
カラス: ゴミを漁り散らかす、鳴き声がうるさい、フン害、ツバメなどのヒナを襲う。
アライグマ: ゴミを荒らすだけでなく、ペットの餌を食べたり、狂犬病などの感染症を媒介するリスクもある。
アライグマ・ハクビシン: 特定外来生物に指定されており、生態系への影響も懸念される。
騒音・フン害: カラスやハトが電線やベランダに止まり、鳴き声や大量のフンで悩まされる。
このような被害が起きた時、「すぐに捕まえたい!」と思うのは当然ですが、原則として個人が勝手に捕獲したり、駆除したりすることはできません。 許可なく捕獲すると、法律違反となり罰則の対象となる場合があります。
(2) 「助けたい!」傷ついた鳥獣やヒナを発見したら?
「道端で弱っているハトを見つけた」「巣から落ちた小鳥のヒナを見つけた」…こんな時、「助けてあげたい」と思うのは優しい気持ちの表れですよね。しかし、ここにも法律のポイントがあります。
原則、触らない・持ち帰らない: 傷ついているように見えても、人間が触れることで野生の鳥獣はストレスを感じ、かえって弱ってしまうことがあります。また、親鳥が近くで見守っている可能性も高く、人間が手出しすることで、親鳥がヒナを放棄してしまうこともあります。
むやみに捕獲・保護しない: 弱っているからといって、許可なく捕獲したり、自宅で飼育したりすることは「鳥獣保護管理法」に違反する可能性があります。
まずは見守る: 多くの場合、親鳥が近くにいます。しばらく様子を見て、本当に助けが必要かどうかを見極めることが大切です。
専門機関に相談: 明らかにケガをして動けない、衰弱しているなどの場合は、自分で判断せず、まずは都道府県や市町村の鳥獣保護担当部署、または地域の動物病院、野生生物保護センターなどに連絡し、指示を仰ぎましょう。
「可愛いから」「可哀想だから」という理由で安易に手を出してしまうと、かえって鳥獣の生態系に悪影響を与えたり、法律に抵触したりする可能性があることを覚えておきましょう。
3. 知っておきたい!鳥獣保護管理法のポイントと罰則
鳥獣保護管理法は、私たちの日々の生活に深く関わっていることがお分かりいただけたでしょうか。ここで、特に覚えておきたい法律のポイントをいくつかご紹介します。
(1) 原則「捕獲禁止」
この法律の最も重要な原則は、**「許可なく野生の鳥獣を捕獲してはいけない」**ということです。捕獲だけでなく、卵の採取や鳥獣の飼育も原則として禁止されています。
これは、無秩序な捕獲や狩猟によって鳥獣の個体数が減りすぎたり、絶滅したりすることを防ぐためです。
(2) 狩猟制度
許可を得た人が、決められた期間(狩猟期間)と場所、方法、道具を使って鳥獣を捕獲する「狩猟」は、この法律で認められています。これは、鳥獣の個体数を適切に管理し、農林水産業への被害を防ぐ目的もあります。
(3) 特定外来生物への対応
アライグマやアハクビシンなど、本来日本に生息していなかった外来種が、生態系や農林水産業に大きな被害を与えている場合もあります。これらは「特定外来生物」に指定されており、捕獲や防除には、より厳格なルールや許可が必要となります。
(4) 罰則
もし、許可なく野生鳥獣を捕獲したり、鳥獣保護管理法に違反する行為を行った場合、罰則が科せられる可能性があります。例えば、許可なく鳥獣を捕獲した場合は1年以下の懲役または100万円以下の罰金など、決して軽いものではありません。
4. 鳥獣トラブル発生!どうすれば良い?具体的な対処法
では、実際に鳥獣による被害が発生した場合や、弱っている鳥獣を見つけた場合、私たちはどう対応すれば良いのでしょうか?
(1) 被害が発生した場合
まずは、何が起こっているのかを冷静に観察し、以下のような対応を検討しましょう。
被害状況の把握: どんな鳥獣が、どんな被害を与えているのかを記録します。
専門機関への相談:
農作物被害: 農林水産省、都道府県や市町村の農業担当部署、または地域のJA(農業協同組合)に相談しましょう。被害対策や防除方法についてのアドバイスが得られます。
生活被害(家屋への侵入など): 都道府県や市町村の環境部局、または鳥獣保護担当部署に相談しましょう。被害状況に応じて、適切なアドバイスや、捕獲許可の申請方法などを教えてくれます。
専門業者への依頼: 自治体によっては、鳥獣の捕獲や追い払いを行う専門業者を紹介してくれる場合があります。個人で対処が難しい場合は、プロに依頼するのが最も安全で確実な方法です。決して自分で無理な捕獲や駆除を試みないでください。
予防対策: 被害を未然に防ぐための対策も重要です。
侵入経路の遮断: ハクビシンやアライグマの場合、屋根裏や床下の隙間を塞ぐ。
餌となるものを置かない: ゴミの管理を徹底する、ペットの餌を外に放置しない。
防鳥ネットの設置: カラスやハトのフン害対策に。
電気柵や防護柵の設置: 農作物被害対策に。
(2) 弱っている鳥獣やヒナを見つけた場合
繰り返しになりますが、まずはむやみに触ったり、持ち帰ったりしないことが大切です。
状況確認:
親鳥が近くにいないか、しばらく遠くから静かに見守る。
ケガの有無、衰弱の程度を確認する(ただし触らない)。
場所が危険な道路上などであれば、安全な場所に移動させることを検討する(その場合も素手で触らない)。
専門機関へ連絡:
都道府県や市町村の鳥獣保護担当部署: 地域の自治体が最も適切な窓口です。状況を説明し、指示を仰ぎましょう。
野生生物保護センター: 地域によっては、野生生物の保護やリハビリを行う施設があります。
動物病院: 野生動物の診療を受け付けている病院は限られています。事前に電話で確認しましょう。
日本野鳥の会: 野鳥に関する情報や相談に乗ってくれる場合があります。
決して自己判断で行動せず、必ず専門機関の指示に従うことが、鳥獣にとっても、私たちにとっても最善の選択です。
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まとめ:鳥獣保護管理法は、私たちと自然の架け橋
「鳥獣保護管理法」は、単に鳥獣を保護するだけの法律ではありません。私たちの生活と野生の鳥獣との間で起こる摩擦を調整し、共存していくための大切なルールです。
私たちの身近に存在する鳥獣トラブルは、この法律と密接に関わっています。
原則として、許可なく野生鳥獣を捕獲したり、傷つけたり、飼育したりすることはできません。
被害が発生した場合や、弱っている鳥獣を見つけた場合は、自己判断せず、必ず都道府県や市町村の担当部署など、専門機関に相談しましょう。
予防対策を徹底することで、未然にトラブルを防ぐことができます。
この法律を正しく理解し、適切な知識を持って行動することが、野生鳥獣の保護につながり、ひいては私たちの豊かな自然環境を守ることにもつながります。
賢く、そして優しい心で、鳥獣たちとの共存社会を築いていきましょう!