生活保護受給者が亡くなった場合どうなる？「死亡一時金」の基本を解説
「生活保護を受けていた家族が亡くなったんだけど、葬儀費用はどうすればいいの？」
「『死亡一時金』という言葉を聞いたけど、どういうお金なの？」
生活保護を受給されている方がお亡くなりになった際、残されたご家族にとって、手続きや費用についてわからないことばかりで、途方に暮れてしまうこともあるかと思います。
この記事では、そんな時に役立つ、**生活保護受給者が亡くなった際の「死亡一時金（葬祭扶助）」**について、わかりやすく解説します。
葬儀の費用をどうするか、誰が手続きをするのか、といった具体的な疑問にお答えしますので、ぜひ参考にしてください。
生活保護における「死亡一時金」とは？
生活保護制度には、「葬祭扶助（そうさいふじょ）」という仕組みがあります。
これは、生活保護を受けていた方が亡くなり、そのご遺族が経済的に困窮していて、葬儀を行うことが難しい場合に、**必要最低限の葬儀費用をまかなうための扶助（援助）**です。
一般的に「生活保護の死亡一時金」と呼ばれているのは、この「葬祭扶助」のことを指します。
「死亡一時金」という名前ですが、実際には現金が手渡されるのではなく、葬儀業者に直接費用が支払われるのが一般的です。
誰が申請できるの？
この葬祭扶助を申請できるのは、**故人の葬儀を行う方（喪主）**です。
故人のご家族や親族はもちろん、状況によっては、故人と親交のあった知人や、大家さんが申請できるケースもあります。
ただし、申請者の収入や資産状況も審査の対象になります。葬儀費用を支払うだけの余裕があると判断された場合は、扶助が受けられないこともあります。
葬祭扶助でまかなえる費用と金額
葬祭扶助でまかなえるのは、あくまでも「必要最低限の葬儀」にかかる費用です。具体的には、以下のようなものが含まれます。
遺体の検案、運搬、火葬
骨壺、納骨に必要な費用
僧侶へのお布施（お葬式をしない直葬の場合は含まれないこともあります）
一般的に、**通夜や告別式を行わない「直葬（ちょくそう）」や「火葬式」**と呼ばれる形式が想定されています。
扶助の金額は、自治体によって異なりますが、大人一人あたり20万円程度が目安とされています。
この金額はあくまでも上限額であり、実際の費用に合わせて支払われるため、扶助の範囲内で葬儀を行う必要があります。
豪華な祭壇や高価な棺、飲食代などは扶助の対象外となるので注意しましょう。
葬祭扶助の申請から支給までの流れ
福祉事務所に相談・申請
まずは、故人が生活保護を受給していた地域の福祉事務所に連絡し、相談しましょう。
「葬祭扶助申請書」などの書類を提出します。
審査
申請者の収入や資産状況、故人との関係などを福祉事務所が審査します。
支給決定・葬儀の手配
審査が通ると、葬祭扶助の支給が決定されます。
支給決定後、扶助の範囲内で葬儀を行ってくれる業者に依頼します。
費用の支払い
葬儀費用は、福祉事務所から直接、葬儀業者に支払われます。
【重要なポイント】
絶対に、葬儀を行う前に福祉事務所に相談してください！
先に自己負担で葬儀を済ませてしまうと、「扶助が必要な状況ではなかった」と判断され、葬祭扶助が受けられなくなる可能性が高いです。
その他のよくある質問Q&A
Q. 故人の年金や保険金はどうなるの？
A. 故人が国民年金や厚生年金に加入していた場合、遺族が受け取れる「未支給年金」や「死亡一時金」がある場合があります。
ただし、これらの収入は生活保護の受給額を決定する際の収入としてカウントされます。
生命保険に加入していた場合も、死亡保険金を受け取ると、原則として福祉事務所への返還義務が発生します。
これらの手続きについても、まずは福祉事務所に相談して、指示を仰ぐようにしましょう。
Q. 故人の部屋の片付けや遺品整理はどうすればいい？
A. 遺品整理の費用は、原則として葬祭扶助の対象外です。
故人の遺品は、原則として法定相続人に所有権があります。賃貸物件だった場合、遺族が責任をもって片付ける必要があります。
もし遺族がいない、または遺族が片付けられない場合は、福祉事務所に相談してみてください。状況に応じて、専門の業者を紹介してもらえるケースもあります。
まとめ：不安な時はまず福祉事務所に相談を
生活保護受給者のご家族が亡くなられた際には、まずは故人が住んでいた地域の福祉事務所に相談することが、最も重要です。
手続きや費用について、一つ一つ丁寧に教えてくれますし、その後の不安も解消できるはずです。
この記事が、大変な状況の中、少しでもお役に立てれば幸いです。