最近むせやすいのはなぜ？「ごっくん」の力が弱まるサインかも！
「食事中にむせるようになった…」
「飲み物でしょっちゅうむせてしまう…」
こんな経験、ありませんか？
年齢を重ねるにつれて、食後に咳き込んだり、食べ物や飲み物が気管に入ってむせやすくなったりすることは、決して珍しいことではありません。もしかしたらそれは、食べ物や飲み物を飲み込む「嚥下（えんげ）機能」が少しずつ弱まっているサインかもしれません。
でも、心配しないでくださいね。むせる原因を知り、早めに対策をすることで、食事を安全に、そして楽しく続けることができます。この記事では、むせやすくなる主な理由と、今日からできる簡単な対策、そして専門家への相談の目安まで、分かりやすくお伝えしていきます。
「むせる」ってどういうこと？「ごっくん」のメカニズム
私たちは普段、意識せずに食べ物や飲み物を「ごっくん」と飲み込んでいますよね。この動作を「嚥下（えんげ）」と言います。
食べ物や飲み物は、口から食道を通って胃へと運ばれます。しかし、誤って気管（肺へ空気がいく道）に入ってしまうと、体がそれを排出しようとして「むせる」という反応が起こります。これが、いわゆる「誤嚥（ごえん）」です。
健康な状態であれば、喉にある「喉頭蓋（こうとうがい）」というフタが気管にしっかりフタをしてくれるので、誤嚥は起こりにくいんです。
最近むせやすいのはなぜ？３つの主な原因
では、なぜ年齢とともにむせやすくなるのでしょうか？主な原因は以下の3つです。
1. 喉の筋力が衰えるから
体全体の筋力が年齢とともに衰えるように、食べ物や飲み物をスムーズに喉の奥へ送り込んだり、気管にフタをするための喉周りの筋力も低下します。特に、喉の奥にある舌の筋肉や、喉頭を動かす筋肉が弱まると、食べ物がうまく飲み込めず、気管に入りやすくなります。
2. 反射機能が鈍くなるから
誤嚥が起こりそうになった時に、すぐにむせて排出する**「咳反射」の機能が鈍くなる**ことがあります。反射が遅れると、食べ物が気管の奥深くまで入ってしまい、より強くむせたり、最悪の場合は肺炎（誤嚥性肺炎）につながるリスクも高まります。
3. 唾液の量が減るから
年齢を重ねると、唾液の分泌量が減ることがあります。唾液は、食べ物をまとまりやすくしたり、喉の通りを良くしたりする役割があります。唾液が減ると、食べ物がまとまらずバラけやすくなり、それが原因でむせやすくなることがあります。口の中が乾燥しやすいと感じる方は、特に注意が必要です。
むせやすいと感じたら！今日からできる対策５選
むせやすいと感じたら、早めに日常生活に以下の対策を取り入れることが大切です。
1. 食事の姿勢を見直す
椅子に深く座り、背筋を伸ばす：猫背になると、喉の通りが悪くなり、むせやすくなります。
顎を軽く引く：少し顎を引くことで、喉頭蓋が閉まりやすくなり、気管への侵入を防ぎやすくなります。
足の裏を床につける：体が安定することで、落ち着いて食事ができます。
2. 食べ物・飲み物の形態を工夫する
水分はとろみをつける：水やお茶はサラサラしているため、むせやすい傾向があります。市販のとろみ剤を活用したり、ゼリー状の飲料を選んだりすると、ゆっくりと喉を通過するため、むせにくくなります。
食材は小さく、やわらかく：大きすぎるものや硬いものは喉に詰まりやすくなります。細かく刻んだり、煮込んだりして、やわらかく食べやすい状態に調理しましょう。
パサつく食材に注意：パン、クッキー、サツマイモ、葉物野菜などは口の中でまとまりにくく、むせやすいことがあります。スープやあんかけ、マヨネーズなどでしっとりさせてから食べると良いでしょう。
一口量を少なくする：一度に口に入れる量を減らすことで、ゆっくりと確実に飲み込めます。
3. 食事中の工夫
ゆっくりと食べる：急いで食べると、十分に噛まずに飲み込んだり、呼吸と嚥下のタイミングがずれたりしてむせやすくなります。
一口ごとに「ごっくん」を確認：飲み込んだことを確認してから、次の mouthful（一口）を口に入れるようにしましょう。
食後の口腔ケア：食べかすが口の中に残っていると、誤嚥の原因になります。食後は歯磨きやうがいをしっかり行いましょう。
会話は食後に楽しむ：食事中の会話は、食べ物や飲み物が気管に入りやすくなる原因の一つです。できるだけ食後にゆっくり話しましょう。
4. 喉の筋力アップ！簡単「嚥下体操」
喉の筋力を鍛えることも大切です。
パタカラ体操：「パ・タ・カ・ラ」と大きな声で繰り返す体操です。口や舌の動きをスムーズにします。
唾液腺マッサージ：耳の下、顎の下、舌の下にある唾液腺を優しくマッサージすることで、唾液の分泌を促します。
空嚥下（からえんげ）：食べ物がない状態で唾液を「ごっくん」と飲み込む練習です。唾液を飲み込むことで、嚥下に関わる筋肉を動かすことができます。
5. 口腔内を清潔に保つ
歯磨きやうがいをしっかり行い、口の中の細菌を減らすことは、誤嚥性肺炎の予防にも繋がります。入れ歯を使っている場合は、清潔に保ち、しっかりフィットしているか確認しましょう。
こんな時は専門家に相談を！
「むせる回数が増えた」「体重が減ってきた」「食事に時間がかかるようになった」など、症状が頻繁になったり、悪化していると感じたら、早めに専門家へ相談しましょう。
かかりつけ医：まずはいつものお医者さんに相談し、必要であれば専門医を紹介してもらいましょう。
耳鼻咽喉科：喉の状態を詳しく診てもらうことができます。
摂食嚥下（せっしょくえんげ）専門医・歯科医師：嚥下機能の評価や、具体的な食事のアドバイスを受けることができます。
言語聴覚士（ST）：嚥下リハビリテーションの専門家です。嚥下訓練や、適切な食事形態の指導をしてくれます。
まとめ：安全に、そして楽しく食事を続けるために
むせやすくなるのは、年齢とともに体が変化する自然なことでもあります。しかし、そのサインを見逃さずに、適切な対策を取ることがとても大切です。
食事の姿勢、食べ物の工夫、そして日々の簡単な体操など、できることから少しずつ始めてみましょう。そして、困った時は一人で悩まず、専門家を頼ることも忘れないでくださいね。
安全に、そして美味しく食事を楽しめる毎日が続くよう、応援しています！