「捕鯨」を巡る状況ってどうなってるの?日本の考え方とクジラとの絆を優しく解説
「捕鯨」と聞くと、様々な意見や情報が頭をよぎるかもしれませんね。国際的な議論の的になることも多く、少し難しい話題だと感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、日本の捕鯨に対する基本的な考え方や、国際的な状況、そして私たちとクジラとの歴史について、水産庁の情報なども参考にしながら、できるだけ分かりやすく、そして柔らかい言葉でお伝えしたいと思います。
日本とクジラ:古くからの深い絆
日本は、長い歴史の中でクジラと深く関わってきました。単に食料としてだけでなく、地域によっては「恵みをもたらす存在」として信仰の対象となったり、捕鯨にまつわる独自の文化や風習が育まれたりしてきました。
「鯨一頭、七浦賑わう」という言葉があるように、捕れたクジラは肉だけでなく、皮、骨、油に至るまで、文字通り「捨てる部分がない」と言われるほど大切に利用され、人々の暮らしを支えてきたのです。鯨肉は、かつては貴重なタンパク源として食卓に並び、地域によっては独自の郷土料理として今も親しまれています。竜田揚げやベーコン、はりはり鍋など、様々な形で日本の食文化を彩ってきました。
日本が考える「クジラの持続可能な利用」
日本は、クジラの資源を「持続的に利用していくべき大切な資源」だと考えています。これは、魚や他の海の生き物と同じように、科学的なデータに基づいて資源量を適切に管理し、乱獲を防ぎながら、必要な分だけ利用していくという考え方です。
水産庁は、国際的なルールに基づき、鯨類の資源量が適切に管理されていることを重視しています。多くの鯨類は十分に資源があると考えられており、決して絶滅の危機にあるわけではない、という認識が日本の基本的な立場にあります。
国際社会との対話:IWC(国際捕鯨委員会)と日本の役割
捕鯨を巡る国際的な議論の中心となっているのが、「国際捕鯨委員会(IWC)」です。この委員会は、もともとクジラ資源の保護と捕鯨産業の健全な発展を目指して設立されました。
しかし、商業捕鯨の一時停止(モラトリアム)が導入されて以来、保護を重視する国々と、持続的な利用を求める国々との間で意見の対立が続いてきました。日本は長年、科学的な根拠に基づいて商業捕鯨の再開を求めてきましたが、話し合いが進まない状況が続いていました。
こうした状況を受け、日本は、科学的な資源管理に基づいた捕鯨のあり方を追求するため、IWCから脱退し、国際法に基づいた沿岸捕鯨および排他的経済水域内での商業捕鯨を再開するという決断をしました。これは、日本の食文化を守り、クジラ資源を持続的に利用していくための選択であり、国際的な理解を得る努力を続けています。
「調査捕鯨」から「商業捕鯨」へ
以前、日本は科学的なデータ収集を目的とした「調査捕鯨」を行ってきました。これは、クジラの資源量を正確に把握し、持続可能な捕獲枠を設定するための重要な活動でした。しかし、この調査捕鯨についても国際司法裁判所(ICJ)での判決があり、日本はそれを受けて調査方法を見直すなどの対応を行ってきました。
そして、IWCからの脱退後、日本は国際法の範囲内で、資源が十分に回復していると判断された一部の鯨種(例えばミンククジラ、ニタリクジラ、イワシクジラなど)について、商業捕鯨を再開しています。これは、限られた資源を管理しながら、日本の食文化を次世代に繋いでいくための取り組みでもあります。
まとめ:多角的な視点で「捕鯨」を考える
「捕鯨」は、単なる漁業の問題ではなく、食文化、歴史、科学、そして国際関係が複雑に絡み合うテーマです。日本は、クジラを単なる動物としてだけでなく、古くから共存してきた「海の恵み」として捉え、その資源を大切に、そして持続的に利用していくことを目指しています。
この問題について考える際には、感情論だけでなく、科学的なデータや各国の歴史・文化的な背景にも目を向けることで、より深い理解が得られるのではないでしょうか。