地震でなぜ停電が起きるのか?電力インフラの脆弱性
大きな地震が発生すると、広範囲で停電が起こるニュースを耳にします。落雷や台風のように目に見える直接的な原因がないのに、なぜ地震で停電が起きるのでしょうか。ここでは、地震による停電の仕組みと、電力インフラが抱える脆弱性をわかりやすく解説します。
地震で停電が発生する主な要因
1. 送電設備や変電所の物理的損傷
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強い揺れによって、電柱の倒壊・送電線の断線・変圧器の破損が発生。
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特に都市部では変電所の機器が揺れで故障することで、一気に広域停電が起こることもあります。
2. 発電所の緊急停止
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地震の揺れを感知すると、安全のため火力発電所や原子力発電所は自動的に運転を停止します。
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発電が一時的に止まることで、供給電力が不足し、停電に至ります。
3. 系統全体の保護機能による遮断
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電力システムは「大規模事故を防ぐための安全装置」が組み込まれています。
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地震による異常を感知すると、自動的に広域の送電を遮断し、被害の拡大を防ぎます。
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これにより、揺れの被害が比較的小さい地域でも停電する場合があります。
4. 津波や火災による二次被害
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東日本大震災の際には、津波による浸水で発電所や変電所が壊滅的被害を受けました。
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地震後の火災も電線や設備を焼失させ、長期停電につながります。
電力インフラの脆弱性
・設備の集中立地
発電所や変電所は特定の場所に集中しているため、そこが被災すると広範囲に影響。
・送電網の長距離依存
日本は山が多く、発電所から都市部まで長距離送電が必要。途中の設備が壊れると復旧に時間がかかります。
・老朽化設備の存在
電力インフラの一部は数十年前に建設されたものもあり、大地震には耐えられないケースもあります。
・地盤や立地条件のリスク
地震が多い国土である以上、活断層直上や液状化リスク地域にある設備は被害を受けやすい。
停電復旧の流れ
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地震発生直後 → 保護装置が作動し送電を遮断
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被害の少ないエリアから送電再開
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電柱・電線の点検、破損箇所の修理
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発電所の安全確認後に運転再開
👉 被害が広範囲の場合、復旧には数日〜数週間かかることもあります。
家庭でできる地震停電対策
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非常用電源(ポータブル電源・発電機)を備える
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懐中電灯・ランタンを常備
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冷蔵庫の開閉を最小限にして食品を守る
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モバイルバッテリーを常に充電
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太陽光発電+蓄電池の導入も長期停電への有効な備え
まとめ
地震による停電は、
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送電設備や変電所の破損
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発電所の緊急停止
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電力系統の保護機能
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津波や火災の二次被害
といった複合要因で発生します。
電力インフラは強化されてきていますが、地震大国・日本では完全に停電を防ぐことは難しいのが現実です。
だからこそ、家庭レベルでの備えが欠かせません。停電に強い住まいづくりや、非常用電源の準備を進めておくことが、安心につながります。