停電を引き起こす「樹木接触」のメカニズム
停電の原因として意外に多いのが、送電線や配電線に樹木が接触することです。特に日本のように森林が多く、台風や大雪など気象条件が厳しい地域では「樹木接触による停電」は無視できないリスクです。この記事では、なぜ木が電線に触れると停電が起こるのか、その仕組みと予防策を解説します。
樹木接触が停電を引き起こす仕組み
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電気は抵抗の小さい道を流れる
送電線同士が木を介して接触すると、木の枝や幹が「導体」として働き、**短絡(ショート)**が発生します。これにより保護装置が作動し、停電に。 -
湿った木は電気を通しやすい
木そのものは乾燥していると絶縁性が高いですが、雨や雪で濡れると水分を多く含み、電気を通しやすい状態になります。そのため、悪天候時に停電が増える傾向があります。 -
アーク放電の発生
高圧の送電線に木の枝が近づくだけで、空気中に電気が飛び交う「アーク放電」が発生し、送電が遮断される場合もあります。
樹木接触が起こりやすい状況
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台風や強風で木の枝が揺れて電線に触れる
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大雪で枝がしなり、送電線に触れる
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樹木の成長で定期伐採が追いつかず、枝が電線に近づく
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倒木により電線が切断・接触する
停電リスクが大きい理由
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樹木接触は局所的な接触でも広域停電に発展することがある
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山間部や郊外では、復旧に時間がかかるケースも多い
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天候に左右されやすく、完全に防ぐのが難しい
電力会社の対策
電力会社は樹木接触を防ぐために、以下のような取り組みを行っています。
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定期的な送電線周辺の伐採
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ドローンやセンサーによる樹木の監視
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送電線の耐候性向上(絶縁被覆や強化電線の導入)
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自動遮断装置・迂回送電システムの整備
家庭や地域でできる工夫
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自宅の敷地から電線に伸びている枝は早めに剪定
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台風や大雪の後は周辺の樹木の様子を確認
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停電に備えて懐中電灯やモバイルバッテリーを常備
まとめ
「樹木接触による停電」は、自然環境と生活が近い日本ならではの課題です。
木が濡れて電気を通しやすくなる仕組みや、アーク放電といった現象を理解することで、そのリスクがイメージしやすくなります。
電力会社の送電線保守だけでなく、私たち一人ひとりが自宅周辺の樹木管理に気を配ることが、停電防止の大切な一歩となるのです。